原子力工学科とは?

何を勉強するの?

卒業後の進路は?

福島原発の取り組み

卒業生からのメッセージ

五味 正博
【略歴】
2014年3月 原子力工学科卒業
 まず始めに、私が働いているアトックスについて紹介します。当社は全国の原子力関連施設、RI及び医療関連施設で事業を展開し、放射線管理、除染、廃棄物処理から設備の運転・点検保守までトータルメンテナンスを実施しています。現在、最も注力しているのは、東日本大震災で甚大なる影響を受けた福島の復興です。電力会社、政府、自治体、メーカーを始めとする関係者の皆様と協力して発電所内外の事態の収束・改善に努めています。
 私自身は、九州電力玄海原子力発電所内におきまして、主に放射線管理業務に従事しています。被ばく管理、汚染管理、測定など現場での作業管理が主な業務です。放射線管理員の資質の向上を図る為には放射線取扱主任者(1種・2種)の資格取得が重要です。これら資格取得や業務遂行においては、学生時代の勉強が大いに役立っていると感じます。
 最後に、福島第一原子力発電所事故が発生して以来、“放射線・放射能”という言葉を聞くだけで、“危ない”と敬遠する人も少なくありませんが、皆さんは本学科で幅広い分野に触れ勉学に励み、正しい知識を身に付けて欲しいと思います。


高橋 悠
【略歴】
2008年3月 応用理学科エネルギー工学専攻卒業
2010年3月 工学研究科 応用理学専攻(修士課程)修了
 私は在学中、講義を受ける中で、エネルギー資源枯渇問題を知り、原子力発電がその打開策の一つになることを知りました。しかし、原子力発電で使用する核燃料もいずれ枯渇するため、それだけでは不十分であり、本当の打開策としては核燃料サイクルが必要であることも学びました。研究室では、核燃料サイクルの一部である再処理のうち、その基本的な技術である溶媒抽出について学びました。

 大学院を修了し、日本で唯一再処理事業を行っている日本原燃株式会社へ就職しました。日本原燃では、再処理事業、埋設事業、燃料加工事業、濃縮事業、廃棄物管理事業を行っており、再処理事業部では、使用済み燃料からウランとプルトニウムを分離し製品とする事業を行っております。
 私は、再処理事業部の分離課(分離課は使用済燃料が溶けた硝酸溶液からウランとプルトニウムを分離することをメインに行う部署)に配属され、その中で廃液の減容処理の計画を立てる業務を行っておりました。具体的には廃液の受入調整、処理量・処理時間の調整、処理した液の払出しの調整等について表計算ソフトを用いて行っており、学生時代に表計算ソフトを多く利用していたことが役に立ったと思います。また、報告書を作成することが多々ありますが、基本的には学生時代に作成していたレポートや卒業論文と同様で、起承転結や読む人のことを考えた読みやすい文章になることを心がけ作成しています。
 現在は機械設備の保全・補修を行う部署に異動し、定期点検や故障後の補修を計画・管理する業務を行っております。具体的には点検に必要な書類を準備し、それらに沿って適切に点検が行われているか確認・管理を行っています。これらの業務を含む全ての業務において、マニュアルに沿って書類を作成すること、作成した手順に沿って点検をすること等、ルールを守ることが重要となりますので、その点に気をつけて業務を行っております。
 社会人になって、学生時代に培った力が非常に役に立っていると思っています。また、どんな業務においても他部署や協力会社の方々と係わることがあり、コミュニケーション能力が必要と感じています。学生のうちから多くの人と係わり、発表の場に参加するなどの経験をしておくと社会人になってからの力になるかと思います。
 私が経験した業務の他に多種多様な業務がありますので、ご興味のある方はまずは当社ホームページをご覧になっていただければと思います。


真壁 佳代
【略歴】
1999年3月 原子力工学科卒業
 エネルギー・原子力・放射線について、多くの人に知ってもらうため、出前授業や測定実習を行ったり、講演会や見学会を開催しています。対象は中学生、高校生、教員、自治体職員、一般の方・・と多様です。 相手にあわせて、どうしたら科学的な知識や正しい情報がきちんと伝わるかをいつも考えますが、学生時代に学んだベースとなる知識が大いに役立っています。
 「原子力」「放射線」と聞くと不安や危険を感じる人が多くいますが、実はさまざまな分野で活用され、私たちの生活に役立っていることはあまり知られていません。 福島第一原発の事故以降、原発再稼働の是非にばかり注目されていますが、原子力・放射線を学んだ人材が将来にわたって多くの分野で求められることは間違いありません。 進路の選択肢が豊富で、日本の社会に役立てる仕事に就ける、そんな魅力が原子力工学科にはあると思います。将来活躍できる場を、是非、ここで探してみてください。


草野 陽介
【略歴】
1998年3月 原子力工学科卒業
2000年3月 工学研究科 応用理学専攻(修士課程)修了
2007年9月 総合大学院理工学研究科総合理工学専攻(博士課程)修了 博士(工学)取得
 大学在籍中の6年間は、放射線計測学、原子炉工学、放射線生物学など様々な授業を履修し、重粒子線の生物学的な影響(間接作用により生じる活性酸素の細胞死への影響)について研究を行いました。重粒子線は、重イオン線とも呼ばれ、電荷を持った粒子を加速して、そのエネルギーをがん組織に集中して与える新しい放射線治療法で、近年大きな注目を集めています。

 大学を卒業して約12年が経ちますが、卒業後に社会人学生として博士取得の機会を頂き、現在は、重粒子線治療施設および放射線治療用線量計校正の実務経験をもとに、神奈川県立がんセンターの職員(医学物理士)として、重粒子線治療施設導入の仕事に就いています。重粒子線治療施設の設計および装置設計では、図面作成、放射線管理、放射線遮蔽、放射線物理、放射線生物など様々な知識が必要とされますが、これまでの実務経験および学生時代に学んだ事をもとに、抵抗なく検討に入っていく事が出来ました。もちろん、授業だけでは知識の面で不足の部分も多いですが、今になって学生時代のカリキュラムが充実していた事に気付かされました。授業や研究だけでなく、サークル活動なども含め、人とのつながりを重視した充実した学生生活を過ごすことができると思います。


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