原子力工学科とは?

何を勉強するの?

卒業後の進路は?

福島原発の取り組み

学科長挨拶 

 福島原子力発電所事故から8年がすぎた。放射線、原発について人々の関心は確かに高まったが、放射線の性質、原子力発電の役割についての科学リテラシーはどのくらい向上しただろうか。 東海大学は全国に先駆けて原子力工学科を立ち上げたが、今こそそのときの原点を振り返る時期であるように思う。
 東海大学の創始者松前重義は、原子力の莫大な未知の力を信じ平和利用の無限の可能性を願って本学科を設立した。それから紆余曲折はあったものの約60年の月日が流れ、 3500名以上の卒業生が放射線、原子力に関連するさまざまの分野で活躍している。社会インフラを支える非破壊検査、生活を豊かにする放射線の医療応用、新素材開発、農業への応用、 さらにエネルギー基盤を支える原子力、新しいエネルギーの実用化を模索する新エネルギー材料開発、そしていうまでもなく、多くの卒業生が福島の復興に様々の面から携わっている。 このような実績こそ創始者の夢見た無限の可能性の一部を具現しているものではないだろうか。
 もちろん福島の事故はまだまだ我々の技術自身そして技術への取り組みの未熟さを痛感させるものである。 原発事故は我々の科学技術への過信と思い上がりを叩きのめすものであった。しかし、これを少しずつ元に戻し、復興させ、より完全なものへと高めていく技術力も また放射線・原子力の基礎知識によって裏付けられていることを忘れてはならない。このような技術を継承し、さらに人類の生活に役立てる。 原子力工学科では、まずすべての基礎にある原子・原子核、放射線に関する基礎教育を徹底する。 その上に、福島原発事故以後重要性が特に認識されている安全性・リスク管理、高レベル放射性廃棄物処分に関する教育の強化、将来を見据えた新しい原子炉プラントの設計、 核融合の基礎研究、そして、放射線のさまざまの分野への応用の模索など、多くの教育・研究メニューを用意し、将来様々の分野で活躍できるよう基礎力と柔軟性を持った人材育成を目指している。
 地球上のすべての生物は放射線とともに生き、またこれから人類が進出しようとしている宇宙空間にも放射線は満ちあふれている。皆さんも放射線の性質をよく知り、対処を学び、その無限の可能性を追求してみませんか。

原子力工学科 学科長 吉田茂生
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